Origin

origin font見えないものの形
橋場信夫

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先史時代から現代、世界諸処から宇宙空間にいたるまで、時空を超えた普遍的なシンボルが呼び起こす美と霊性。そのルーツが美術家・橋場信夫によって「見えないものの形」となって浮かび上がります。ティル・ナ・ノーグ ギャラリーで、根源と表象にかかわる橋場信夫の世界をお楽しみください。皆様のお越しをお待ちしております。

[アーティストメッセージ]

1979年、私は南仏ラスコーの洞窟を訪れた。そこで壁画を描いたであろう太古の人の手形を見たときの感動を今も忘れない。それ以来、私の絵のテーマはOrigin(根源)となった。一口に根源と言っても多岐にわたる。それは私個人の根源から始まり、日本の、世界の、ヒトの、宇宙の根源までつながっていく。根源を知ることは、今ここに生きている私が模索している新たな表現が、重層化した伝統の上に成り立っていることを確認することなのである。
ケルト文化はヨーロッパの根源である。ヨーロッパの中央で生まれたこの文化は、ローマ帝国によってヨーロッパの西端(アイルランド、ブルターニュ、ガリシア)にまで追いやられた。その文化圏は正反対の極東に位置する日本と地理的に似ている。似ているのはそればかりでなく、両文化はともに記号、シンボルを重視してきた。ケルトの魅惑的な渦巻き、組紐模様、日本のシンプルな家紋は2万種にも及ぶ。
記号、シンボルは幾何学的である。単純な要素である円、三角、四角などの組合せ、繰り返し、回転、対称などによって生まれる。それ故世界中で同じ様なものがあっても不思議ではない。しかし眼に見える物はそれを単純にデザイン化すれば良いが、眼に見えないものの形はどの様にして表されるのだろうか。
まず、そこに先立つものがある。形が作られるよりも言葉に語られるよりも前に存在する、あるものから「必然的な形」が生まれるのである。そうでなくてはシンボルはシンボルとしての意味を失う。
たとえばケルトの表象のひとつであるトリスケルは三つの渦巻きによって構成されている。日本のイザナギ、イザナミは左右の渦巻きで表されている。世界創生のシンボルは、なぜ渦巻きでなくてはならないのだろうか?その根源に共通するものを感じること、それは世界には同様のシンボルが存在するという事実以上に重要なことである。それ故に眼に見えないものの形の持つ力が人々をあまねく魅了し続けるのである。

 

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