中川道夫 写真展
2016.11.19 (土) ~ 2016.12.4(日)
13:00 ‒ 19:00 月休
都市建築と風土、人の営みをテーマに世界を回り、時代の記憶を伝える写真で高く評価されている 中川道夫。今回はダブリンからベルファスト、そしてヨーロッパの西の果てアラン諸島まで旅をし、 現代アイルランドの風景や街並み、人間模様を撮影した。臨場感やノスタルジーを呼び起こす作品と ともに、文学者の栩木伸明氏がセレクトしたアイルランドの詩人の言葉を紹介。心に響く写真と詩と のコラボレーションからケルトのエッセンスが醸し出される。
<展覧会によせて 作家メッセージ>
アイルランドは小さな島国だ。自然風土は厳しく欧州大陸のような際立つ文化史跡はない。だが人は なぜこの地に惹かれつづけてきたのか。アイルランドにケルトなど古代の霊力を見出したのは詩人の イェイツらだった。島の人びとは一神教を受け入れはしたが、古い神々や妖精をごまんと残した。
この島には見えないものが存在するらしい。見えるものしか捉えられない写真家は旅の涯にこの岸に たどり着いた。閉塞した時代、新しいものはもはや中心になく周縁から生まれる。島の北部の抗争は 止み黙して語る。アイルランドの荒地は豊饒に見えて、飾らない町や人の素朴さが味わい深い。この 島の吹く風に巻かれていると、何かが幻視できそうな気がしていた。